巷では水道水にフッ素がこの4月から添加されると噂が流れています。
一部の方々はフッ素の毒性を説き、警鐘を鳴らしている人々もいますね。
では実際はどうなのでしょうか?
そもそもフッ素の何がいけないのか?
仙台市の場合はどうなのか?調べてみましたよ。
仙台市水道局ではフッ素を添加するのか?
早速調べてみました!
結論から言いますと・・・フッ素添加は行いません!!
質問11 虫歯予防に効果があるとききますが、フッ素を添加する予定はありますか?
回答11.現在のところフッ素添加の予定はありません。
水道局では、安全で良質な水道水をお届けすることが最も重要であり、水道水は市民の皆さまにお飲みいただいているばかりでなく、さまざまな目的に利用されていることから、水に添加する薬品類は必要最小限にすべきであると考えています。
また、フッ素をとりすぎると、斑状歯(歯の白濁等の異常)や骨硬化症になる恐れもあるといわれており、水道水のフッ素の添加については、慎重に対処していかねばならないと考えています。よくある質問Q&A(水質) - 仙台市水道局
と言う事で仙台市水道局の「よくある質問Q&A(水質)」のページに明確な回答があります。
つまりは水道水は飲用だけでなく様々なものに使用されるため余計な化学成分を添加することは望ましくない。だからフッ素を改めて水道水に添加することは無いと言う事ですね!
ではなぜ「水道水にフッ素を添加する」という噂が流れたのでしょうか?
水道水にフッ素を添加するという噂はどこから?
国の指針として、水道水にフッ素を添加するという話は今のところないようです。
今回の噂はどうもデマだったようですね。
というのも、2020年2月に厚生労働省の水質基準逐次改正検討会において「水質基準等の改正方針案」が出されました。
令和元年度第2回水質基準逐次改正検討会
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000597714.pdf
その中に有機フッ素化合物についての記載があり、その中で水道水に含まれる基準値を決めましょうと言う事が書いてあります。
今まで決めていなかったのですが、諸外国も有機フッ素化合物の毒性や健康に影響を及ぼすことから日常的に使用する水道水に含まれる量を規制するという動きになっていると言う事でした。
自然界の水源に自然に含まれる有機フッ素化合物を規制するために検討した内容が記載されています。
そうなんです!その決めた数値までフッ素を添加しよう!と言う事ではなく、はじめから入っている有機フッ素化合物の量を減らし、より安全・安心に水道水が利用できるようにしよう!というための数値だったのです!!
詳細は先のPDFの6ページから始まります。
有機フッ素化合物の一つであるペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)については、
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)において、平成 21 年5月に
使用制限の対象物質として新規登録され、国内においては化学物質の審査及び製造等の規
制に関する法律(化審法)において、平成 22 年4月以降は特定の用途を除き製造・輸入・
使用等が禁止されている。また、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)については、平成 31 年4月から令和元年5月に
かけて開催された POPs 条約第9回締約国会議において、付属書Aに追加され、特定の用途
を除き廃絶することが決定され、化審法に基づく所要の措置について検討が行われている。
水道水質に関しては、平成 21 年4月に PFOS、PFOA を要検討項目に位置付け、水道水に
おける検出状況の把握や科学的知見の収集に努めている。https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000597714.pdf
と言う事で、どちらの有機フッ素化合物も人体に危険だから使用は止めよう!というものです。
それをわざわざ添加するわけはないでしょう?
そして諸外国で有機フッ素化合物の規制を行い始めたということで、日本でも規制の基準値を作ろうという動きになったと言う事です。
検討の末、
PFOS については、②のとおり、TDI として 20ng/kg/day を用い、体重等については、
我が国の水道水の水質基準値等を設定する際のデフォルト値である、体重 50kg、水道水
の割当率 10%、一日当たりの摂取量2L を適用し、暫定目標値案は 50ng/L となる。PFOS 暫定目標値[ng/L]
=TDI[ng/kg/day]×体重[kg]×水道水の割当率[-]/一日当たり摂取量[L/day]
=20×50×0.1/2
=50[ng/L]
PFOA については、TDI は PFOS と同じ 20ng/kg/day であり、体重等についても PFOS と
同じデフォルト値を適用すると、同様に暫定目標値案は 50ng/L となる。
USEPA では、PFOS と PFOA それぞれについて健康勧告値を 70ng/L と算出しているが、
飲料水中に PFOS と PFOA の両方が認められる場合、PFOS と PFOA の総濃度(合計値)を
健康勧告値の 70ng/L と比較するべきとしている。この理由としては、PFOS と PFOA の参
照用量(RfD)は類似の発達影響に基づいており、また、数値も同一であり、飲料水中に
これらは同時に同じ場所で見られるため、保守的で健康保護的なアプローチとして、合
計値と比較するとされている。
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000597714.pdf
2種類の有機フッ素化合物を合わせての量で50ng/Lにしてはどうか?という提言でした。
これが一部で勘違いされて、
「水道水にフッ素を50ng/Lとなるように添加する」
と言うような噂になってしまったのだと思います。
実際にはそれ以上の量が自然界の水に混入しており、しかもフッ素ではなく有機フッ素化合物のPFOS と PFOAの量の規制と言う事でした。
水道水フロリデーションという考え方
そもそもなぜに水道水にフッ素を添加するという話が出てきたのでしょうか?
それは虫歯予防の観点から検討された話です。
1945年にアメリカのミシガン州グランド・ラピッズほか北米の3州で開始されました。
10年後には永久歯の虫歯を50~70%減らしたという結果が出ています。
それ等の研究を受けて他の国でも導入されている方策です。
導入されている国はオーストラリア・ブラジル・香港・アイルランド・マレーシア・ニュージーランド・シンガポール・英国などです。
導入されている国の研究結果からはやはり虫歯の件数が約半数にまで減ったというものですので、虫歯予防に有効だと言われています。
日本では導入されないのか?
実は日本でも昔に導入されたことがあるようです。
- 1952年から1965年まで京都市山科地区
- 1952年から1972年まで沖縄県
- 1967年から1971年 三重県朝日町
です。
ただ現在では水道水フロリデーションは国内では行われていません。
まとめ
現在の所、
仙台市水道局では水道水にフッ素を添加する予定はありません!
また、仙台市水道局のQ&Aを見るにフッ素添加に否定的なようです。
そして、そもそもの4月から水道水のフッ素添加の噂は勘違いのようです。
令和元年度第2回水質基準逐次改正検討会
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000597714.pdf
において、諸外国が水道水に含まれる有機フッ素化合物の量を健康の安全面から考えて規制し始めていることから、日本国内でも規制の数値を決めましょうと言う事でした。
その結果、今まで規制の数値が決まっていなかった有機フッ素化合物の基準値の提言が決まりました。
それを見た一部の人が勘違いをし、その数値になるように水道水に新たにフッ素を添加しなければならないと思ったようです。(意図的かどうかは分かりません)
と言う事で今回の噂「水道水にフッ素が添加される」は間違いでしたね!
とりあえずは良かったのかな??
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