新型コロナウイルス騒動で休校が続く中、「9月入学」という話が持ち上がっています。
実際どうなのでしょうか?
なぜ9月入学の話が出てきたのか?
本当に9月入学が良いのか?
メリットとデメリットを比べてみました!
9月入学の発端は?

WokandapixによるPixabayからの画像
9月入学の話の発端は何か?と言いますと、実は以前からこの話題はありました。
私が子供のころは、小・中・高と3学期制でした。
私はこれで良いと思うのですが、何故か変えたくて仕方がないグループが居るんですよね?
簡単に3学期制について話しますと、
- 4月から新学期が始まりまして、夏休みまでが【1学期】
- 夏休み明けの8月後半から冬休みまでが【2学期】
- 冬休み明けの1月上旬から3月までが【3学期】
というように、長期休業で区切りをつけて、その前までの学習評価で成績表が出されていました。
私はこれで何ら問題が無いと思っているのですが、頭の良いお偉い方々にはどうも不満があるようでして、前期・後期に分けた2期制を導入しました。
大学などはこの2期制ですので、そちらに合わせたのかと思いましたが、実はどうやら諸外国の入学事情に合わせたかったようです。
昔から言われていたのは?
アメリカなどは9月入学という制度だからです。
日本からアメリカなどに留学する際に、日本では3月卒業で、アメリカは9月入学なので約半年期間が空いてしまいます。
またアメリカなどから日本に留学してくるにしても、8月卒業で、日本は4月入学ですから、やはり半年のずれがあります。
このずれのせいで留学がお互いにしにくいので時期を合わせたいということのようです。
今回話題になったのは?
今回9月入学がここまで話題になったのは、宮城県知事が全国知事会で働きかけを行っていることはご存じだと思います。
ただどうやらここまで話題が大きくなったのは、ある高校生がツイートしたことから始まったようです。
新型コロナ騒動の為、3月後半から休校が続き、新学期になっても未だ登校できていません。
各学校自宅学習用に宿題を出すなどの方策をしていますが、学習が十分とは言えません。
小学生や中学2年生以下は休校に喜んでいるようですが、そろそろ流石に飽きてきています。
そんな中ある高校生が、
「このまま休校が続けば、自分の高校生活は短くなってしまう。入学・進学を9月にして欧米とそろえてほしい」
というような投稿があったからだと言われています。
この後、別の高校生が4月中ごろから「9月入学」のための署名活動を署名サイト「Change.org」で開始します。なんとそこには5月2日までに文部科学大臣に提出するための署名が2万人分以上集まりました!
この広がりを受けてマスコミでも話題になりついには国会でも取り上げられるまでになりました!!
しかし同じ署名サイトで「9月入学に反対する」署名活動も開始され数千人の署名が集まっていたようです。
ではどちらが良いのでしょうか?
9月入学にはメリットが大きいのでしょうか?
9月入学のメリット
先にも書きましたが、一般的な9月入学のメリットは何かと言いますと・・・
「欧米諸国の学校の入学時期が合うこと」
これです。
このことにより、年々減っている海外留学をする学生を増やそうということですね。
また海外から日本に来る留学生も半年のズレが無くこれるので、日本も留学しやすい国になるということですね!
それと、今年の特殊な事情、「新型コロナウイルス騒動」を考えた場合のメリットは、
「学習の遅れを取り戻せる」
「学校行事を、学校生活の思い出を取り戻せる」
ということです。
今回の高校生の主張として、今まで登校できなかった分学習が遅れている。
受験生なのに遅れているのでその分取り戻すのが大変です。
カリキュラムも間に合わない・・・来年1月後半から始まる受験に間に合わない!
ということでしょう。
また、休校が長引いたために学習時間確保の為、行事を削られてしまう。
小学6年生や中学3年・高校3年の最終学年生が学校生活が短くなってしまった!
9月入学になれば、8月までは今の学年となるから、時間もでき、行事もできるでしょ!
ということも考えていたのではないでしょうか?
本当に今年の最終学年生をはじめ子供たちはかわいそうだと思います。
幸いにして6月1日から入学式や新学期が始まる予定となっていますので、やっと学校に行けるという子供たちの安心したような、でも・・・という顔が見られています。
ただ、冷静に考えて、9月入学のメリットはこれくらいじゃないでしょうか?
9月入学メリットまとめ
9月入学になると、
- 欧米の学校の入学が9月なので、留学がお互いにしやすくなる。
- 新型コロナ騒動で送れた学習などが取り戻せる
という2点でしょう。
正直この2点のメリットでは弱い気がしますが・・・。
9月入学のデメリット
9月入学のデメリットですが・・・
まずは社会全体のシステムを変えないといけません!
一番大きいのは、資格試験の日程ですね。
医師免許や看護師免許などの医療関係やもちろん弁護士試験などの法曹関係などなど、大きな資格試験の日程を変更しなければなりません。
またそれらの試験に合格したからと言ってすぐに仕事に就けるわけではなく、研修などやインターンなどが必要になりますよね?それらを行う時期も秋に変更しなければなりません。
4月にも書記官の養成研修が中止になりましたよね?
<新型肺炎>和光の税務大で1100人の研修会 政府の集会自粛要請中、和光・松本市長「適切でない」 | 2020/4/4 – 埼玉新聞 https://t.co/LuHZmtDdFW #新型コロナウイルス #COVIT19 #税務大学校 #職員約1100人研修#裁判所職員総合研修所
# 300人書記官養成研修#安倍政権#埼玉県— NewAdventure (@NewAdventure7) April 4, 2020
こういうものも9月に変更する形になりますね。
また8月卒業ということになりますので、入社が9月になります。
そうしますと企業内の制度も変更しなければなりません。
各社4月に新入社員が来る前提で研修や仕事の割り振りなどを準備しています。これを9月に変更しなければなりません・・・そうしますと四半期決算などの数字が大分変りそうですね?慣れればとは言いますが、混乱は必至です。
他にも細々と社会の制度の変更が余儀なくされます。検討会なども必要でしょう。これにかかる費用は莫大なものとなるでしょう!
それも9月入学に変更される時の1回だけにかかる費用で、翌年以降はそれほどかからないだろうことは分かります。時期の変更はその後は慣れでしょう。
でもこの9月入学へ変更するためにかかる莫大な費用と比べてメリットは釣り合うのでしょうか??
メリットがもっと強ければ、費用が掛かっても9月入学を推し進めるべきですし、今回の休校期間が長引いたことで子供たちとしては9月入学でもやっていけそうな気はします。
でも私にはデメリットの方が大きい様に感じます。
そこまでして、9月入学にする必要があるのか?ということですね!
最大かもしれないデメリットは部活動!?
部活動がもしかしたら最大のデメリットになるかもしれません!!

Keith JohnstonによるPixabayからの画像
最近話題になりました甲子園の中止!
夏の甲子園中止は
本当に残念。親も小さい頃から
子どもと同じ目標に
してた聖地。僕は、息子が甲子園の
打席に立った感動が
忘れられない。今の親御さんは
1打席だけでも野球してる
姿を見たいはす!皆さんで広げましょう#高校野球プロジェクト#高校野球引退試合 pic.twitter.com/NPIUTDVHDT
— 翔貴ジィ (@Ykrnprknq1fq5pO) May 21, 2020
夏の甲子園や他の部活も夏に大きな大会が予定されています。
9月入学になりますと、夏は・・・学年が終わった後です。
今の4月入学のカリキュラムに当てはめて言いますと・・・春休みに甲子園という感じになりますよね!
え~~とどうなんでしょうか?
確実に3年生は出場できないですよね?
というのも、9月入学では、その夏の時期は受験シーズン終盤です。というかもう練習に参加できませんし甲子園とか言っていられない時期になりますよね!
他の部活動も同じです!
どうなんでしょうか?
勉学の方は留学に合わせて9月入学のカリキュラムで良いでしょう。
でもスポーツに青春をかけている人も多くいるわけです。
そう考えると部活動によってはデメリットにしかなりませんよ!?
4月入学の場合の夏の時期というのは、9月入学では冬に当たります。
9月入学になるとウインタースポーツが隆盛になるのでしょうか??
勉学だけが学生の本文ではありません。
多様な活動もあって学生なのです!そう考えると9月入学にするのは少々乱暴な気がしますが?どうでしょうか??
留学の為に9月入学というけども・・・

Bonnie HendersonによるPixabayからの画像
留学を目指す学生の為に9月入学に制度を変えようと言いますが、本当に留学に有利になるのでしょうか?
そもそも、日本から海外に留学する学生は年々減ってきています。
留学生を増やしたいというのも頷けますが、はたして本当にこの9月入学という半年間のズレが留学を妨げる大きな問題なんでしょうか?
もちろんズレは無いに越したことはありませんが、もっと経済的な理由とか就職に関する問題などがありそうな気がしますがどうなんでしょう?
日本以外がみんな9月入学となっているなら、確かに国際社会と言いますかグローバルな取り組みとして日本も9月入学の方が今後の日本社会にとっても良いと思いますが・・・
諸外国の入学時期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
シンガポール
オーストラリア、ニュージーランド
韓国
日本、インド
タイ
フィリピン
インドネシア
ドイツ、スイス、スウェーデンなど
アメリカ、カナダ、イギリス、
フランス、イタリア、スペイン、
ロシア、中国、台湾など
ということで、確かに9月入学の国が多いですが、他の月に入学という国も意外とあるわけですね。
同じヨーロッパでもドイツやスイスは8月入学です。
南半球のオーストラリアやニュージーランドは2月に入学式なんですね!2月ですと夏かな?
なぜ外国は9月入学なの?
始まりは諸説ありますが、
鍵垢からの情報ですが、欧米の学校が9月始まりなのは収穫時期に人手を確保して、終わった後に入学、進学だからだと。
小麦の収穫は6月頃からかな。麦秋という初夏の季語がある。ポテトは5月から10月くらいか。
— yurara 💫 (@yurarasanrinji8) April 30, 2020
というように収穫時期に子どもたちに手伝ってもらわないと困るので、収穫が終わってから学校が始まるというようなことだったらしいという説があります。
その国その国の風土や社会制度に沿うように入学時期が決まっています。日本でも明治時代にさまざまな検討を経て4月入学が決まったわけですね。
無理に全体を合わせることなく、大学の制度を柔軟に変えれば済む可能性のある問題ですね。
最終学年途中から留学に行っても中退扱いにならないなどの制度を充実させれば済む話の様にも感じます。
経団連が9月入学を推す理由?
経団連が9月入学を推していますよね?
欧米諸国と時期が一緒になることにより、諸外国からも同時スタートで優秀な人材の確保に乗り出せるっていうことで、企業にメリットが大きいということです。
会社に入社できる人数は決まっていますよね?
海外からの優秀な人材が確保できた分・・・日本の普通の人材は要らないということです。
企業にしたら当たり前の理屈ですが・・・この論法で行ったらまた就職氷河期がやってきます。
そして、経団連が言っている海外の優秀な人材とはどこの国のことでしょうか?
9月入学の国はいろいろありますが、日本に就職しにくるという点で考えると「中国」ではないでしょうか?
心配し過ぎかもしれませんが・・・経団連は中国の人材を多く日本に取りこみたいようですね。
現状でも「外国人労働者の受け入れ強化!」と言っていますが、要は安い賃金で働いてくれる労働奴隷が欲しいという見方もあります。
9月入学ということになると、おそらくは新卒で就職活動を行う場合、中国の学生と闘うことになります!
そうなると日本人学生は本当に勉強をしないと勝てません!
言語の点を見ても明らかですよね!
中国の学生で日本に就職を望むレベルの人となると、「中国語」「日本語」そして「英語」が話せるでしょう。
グローバル化の社会に於いて、これらの言語が自由自在に扱えることはかなりの武器です!
日本人でそのような学生を探すと少ないですので、大きな会社に持って行かれるでしょう。でもこれから中国から新卒でそのような学生が大量に日本の就職活動に流れ込んで来たら・・・?
これからの日本の学生は外国語、少なくとも英語は自由自在に扱えないと勝負すらできなくなる可能性もありますよ?
そう考えると学力低下の問題では済まないですよね!
9月入学に潜む罠?
9月入学を望む親御さんの意見に、
「現在の受験シーズンが1月末からで大雪やインフルエンザの流行期に重なるので変えてほしい。だから9月入学に賛成」
とありました。
ですが、良く考えると、9月入学にするためには、7月からが受験シーズンになります。そうしますと、最近の傾向として大雨や台風が本格的になってくる頃ですよね?
猛暑まで重なると辛いです。
まして入学となる9月頭まで台風シーズンだったりします。
そうしますと・・・年によっては受験どころじゃない地域も出てくると思いますよ?
今後どんどん台風の被害は出てくるほど温暖化で台風が強くなっているという話もありますから、被害台風が重なる可能性もあります。
自然災害は防ぎようがないので、私はまだ冬の大雪の方が可能性が低いので現行のままの方が受験はしやすいのではないでしょうか?
個人的には受験は前倒しして、11月頃でやった方が良いと思いますけどね?
私立の進学高では2年生までの間にカリキュラムを終わらせて3年生の時は受験勉強に充てることが多いですよね?
ということはやろうと思えば公立でも同じ勧め方ができるわけです。そのほか出題範囲を検討して、11月頃に受験が出来るように変更したほうが良いと思いますけどね?あくまで個人的な意見です。
まとめ
経団連もグローバルな人材の確保などと言って、9月入学で欧米と時期を合わせることに賛成のようですが、通年を通しての入社を受け入れるようにしていけば良いだけですので、その問題を9月入学に押し付けなくても良い様に思います。
個人的には正直、現状では9月入学のメリットが少なくて、9月入学実現の為に支払う社会的コストに見合わない様に思います。それほど大事な制度に見えないんですね。
また勉学の遅れに関しては今年が特殊なので、受験関係は特例的に方策を立てれば良いと思いますよ?
高校3年生に習ったことすべてが大学1年生に必要とは言えないですし、そのような難関大学に行く人は休校中も既に勉学に励み進んでいるでしょうからね?
ですから、今度の入試では特例的に出題範囲を狭くするという対応でも良いと思いますけどね?
また非常に個人的で感情的といいますか、感傷的といいますか、怒られちゃいそうですけど、

Momoko MoritaによるPixabayからの画像
卒業&入学には桜が必要だと思うんですよ!
少なくとも入学ってわくわくして、目出度くて、お祝い事ですよね?
春の暖かさがきて、こう季節が華やぐ時ってお祝い事が良いじゃないですか?
桜が咲いて、暖かくなって、そして新緑の芽が芽吹く!
フレッシュで若々しく、新入生!新入社員!!という、まぁ今までが当たり前にそのような環境だからそういうイメージが染みついたのは確かなんですが・・・ねぇ?
それが9月入学だと、秋ですよね。

Larisa KoshkinaによるPixabayからの画像
今年もあと僅か、もうすぐ年末だね?
という、なんだか締めに向かう季節ですよね。
もちろん紅葉もきれいですよ!

David MarkによるPixabayからの画像
でもすぐに葉は落ち、枯れ木が寒風にさらされる季節が来て・・・雪が降る。
秋という季節は好きですよ!果物も美味しいし、いろんな幸がありますからね!
でもどちらかというと落ち着いていく季節なので、わくわくはしないかなと。
やっぱりこう、日本の文化と言いますか、未来の子どもたちにもやっぱり桜の木の下お祝いの写真を撮ってもらいたいなと思うんですよ!
新入社員なども最初の懇親会がお花見というのも良いじゃないですか?
なんか無理に春のウキウキする季節に入学式という風習を変えなくても良いと思うのは、年をとったからなのでしょうかね~~。
会社や大学の制度を少し変えるだけで留学に関する問題は解決するように思いますよ?
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